『束の間の休息』
黒い海を泳いでるんだ 視界度数はゼロです
正直言うと僕はカナヅチ 気を抜くと今にも溺れそう
でも此でも 一生懸命なんだよ 未(ま)だ覚束無いクロールで
息継ぎすら出来ないけど ゴール目指して・・・
時間(タイム)なんて気にしないよ 其も少し嘘だけれど
兎に角 精魂込めて 生きて 進むしかないんだ
抵抗されど 風も波も 受け止めて 流されずに
芯の強い奴に成る為に 頑張ってるんだってば
息絶えた小魚の群れが 名残惜しそうに こっちを見てる
僕達は彼等の犠牲を無駄にしない為にも
濁った渦の中 掻い潜り抜けて いつか絶対 辿り着いてやる
心の奥 幻の果てへと
最初で最後の挑戦(ダイビング) 楽しまなきゃ 損 損
でもこんなに 見渡す限り 何にも無い処で
一体如何(どう)やって遊ぶの 狂った無法地帯で・・・
「愛さえあればなんとかなる」って 然んな綺麗事じゃ通じないよ
人々はもっと違う次元で 繋がってるんだってば
この際 脳天気な考えは捨てて 腐敗だらけの現実を捉えよう
紛れもない 誇り(プライド)持って立ち向かうんだ
命知らずの馬鹿だから 小細工も何も出来やしない
あるのは 魂の抜け殻 我が身ひとつと
誰にも負けない 壮大な夢さ
意識の底を旅して 両目は疾うに潰れた
其の又底は静かすぎて 頭も割れて 何時か自分は
崩壊してしまった 完全に だからこそ
誰にも言えない秘密があるんだ 誓いを結べば君にも話そう
とても 普通の神経じゃ聞けないよ 正気の沙汰では無いからね
其れ形の覚悟がないと イカれて仕舞うぜ
もしか
なんだかすべてがいやになったり なんだかすべてがむなしくなったり
怒りのやり場を見失って 全身が引き裂かれそうな時
異常な自分に気付いて仕舞って どうしたらいいかわからなくなって
明日に希望の光を無くして 暗闇を彷徨う破目に成っても
周りの人が野獣に映っても 背中に死神が乗り移っても
自殺願望打ち砕いて 戸惑う思いも振り切って
曖昧模糊に妥協しないで 些細な事もいい加減にしないで
嫌いなものでも否定しないで 皆 愛せるんだったら
なんにも怖れる事なんかないよ 素直な気持ちを大切にしてれば
やがては入り組んだ矛盾からも
解き放たれよう
広がる空に変わらぬ景色 醜美を秘めた果てしなき世界
静寂の支配する闇の中 もう泳ぎ疲れてあっぷあっぷだ
振り返る術など有る筈も無く 何処迄も続く孤独なレース
風の行方 求める様に
白い波がうねりを上げる 夜明け前の瞬間
無人島の隅っこの樹に凭れ掛けて 水平線をじっと見詰める
ずっと こんなに待ち焦がれて居た 太陽の光を浴びて
再出発(スタート)する迄の あと少し
束の間の休息
(ツカノマノキュウソク)